認めてしまうことで、生きること。
〈自分自身が何なのか〉を問う話ではなくて〈そう生きることが何なのか〉を問う話題だと思いました。
恐らく出生問題が絡んでいるであろうこの映画は、生きれば生きるほどに幸福と遭遇したり、うまくいかず悩むことが成長の糧になる、という風な生きて過ごすことを隠す話。裏へ裏へ、隠す隠す。
観終わった後はこういった感想が思い浮かびましたが、数日経って考えたりしてみると、実際のシーンでは市子そのものの魅力や他人を惹きつけることは事実で、確かにそれで"得"をして生きていた描写も事実であると思いました。婚約翌日に…というまえがき、話中にもある友人からの愛の告白と覚悟に聞こえる台詞も、愛の為に死ぬという結末も、市子の背景と、でも確かにある女性としての魅力が同居し、市子が抱える主題の"せい"で触れにくいツッコミにくい、魔性的なキャラクターが非常に魅力的でした。
市子をノーメイクで演じた杉咲花さん、覚悟と生きることで消えていってしまうこと、また忘れられない一作を演じられていました。
〈最高や。全部流れてしまえ！〉
