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市子のBCのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

無戸籍でも学齢であれば、義務教育は就学出来る。
というのは私はニュースなどで知っていたので、
無戸籍の市子が重度障害のある妹になり変わって
3年遅れで就学というのは違和感を覚えてしまった…
市子の母親は夜のお仕事なのでそこまでの社会知識はなかったのだろうか?

小学生の頃、男子が女子の胸を触ろうとする描写もあるけど、
子役も成人した市子も胸が大きそうには見えないんだよね。。。
市子が年齢誤魔化しているから先に成長しているのを表したかっただけなんだろうけど。

劣悪な家庭環境なら高校まで親元で暮らさず、
中卒の時点で自立しようとするものなんじゃないかな?

なぜ市子はケーキ屋辞めたの?

交際して3年経ってから義則は市子に浴衣をプレゼントって遅すぎない?

結局、何も持たずに失踪した市子はどうやって逃亡費工面したんだろう?

時系列ややこしいし、舞台の戯曲が元ネタらしいので現実離れしていてツッコミ所満載ではあるんだけど、
杉咲花と若葉竜也の演技力で持ちこたえられた作品のような気もしました。

市子役の杉咲花の大阪弁は彼女は大阪局制作の朝ドラに主演し
長く大阪に滞在した経験もあるからか言い回しは上手かったけど、
大阪弁としては話すスピードがゆっくりすぎて京都弁ぽく聞こえてしまった…

市子は普通の家で生まれ育っていたら平穏な人生をおくれただろうという感じでもなく、
身内であれ負担になる存在は容赦なく殺害してきたのだから
家庭環境関係なくサイコパス気質なような気がしてならない…
そういったおぞましさを滲ませながらも
義則との同棲の日々では普通の恋する若い女性らしさも見せる。
その匙加減を杉咲花は絶妙に演じきっていた。
市子の複雑な人物像に共感は出来ないが
義則との同棲の日々は彼女にとって波乱の人生の中で
唯一の純粋で尊い時間だったと信じたい気持ちにもなったよ。

義則役の若葉竜也は役によっては演技が過剰な時もあるんだけど、
この作品では普通の役だったので眼差しもセリフも真っ直ぐな役を
出しゃばりすぎない程度に自然に演じていて良かったです。
彼が控えめに演じたからこそ杉咲花の静謐な葛藤が滲み出る演技も活きたような気もしましたよ。

市子の母役の中村ゆりは泣きの演技が弱いのが難点かも…
だけど、汚れ役にありがちな自分勝手な鬼母的に振りきらなかったのは良かった。
ダメ男にすがってしか生きられない
か弱い女(陰のある女)としても表現していたのは
古き良き時代の映画的で印象に残りました。
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