グラッデン

市子のグラッデンのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.4
「12月のテアトル新宿」で上映される作品は特別と改めて感じさせる快作。

例えば、同じ失踪事件を題材にしたデヴィッド・フィンチャー監督『ゴーン・ガール』のように、あるタイミングで主観を反転させるアプローチはよくあると思うが、本作は市子本人と、市子と接点のある人々の語りが交差する。

こうした構造は、場面転換が適宜行われる舞台原作だから作れる群像と主観のバランス感覚だと思う。そこに映像化で伝えられる視覚的に見せる情報量の調整、双方がバチっとハマっていた。

杉咲花さんをはじめ、キャストが多くを語らずに伝える演技の置きどころも、作品のカラーにフィットしていたと思う。

年内に見れて良かった。