おはる

市子のおはるのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

プロボーズをした翌日に市子が失踪。そして市子という人物が存在しない人物であるというところから始まるストーリー。彼女を取り巻く現実が物語が進むにつれて少しずつ明らかになっていく。

ただただ普通に市子として生きて、市子としての幸せを掴みたかっただけなのにそれすら叶わない現実が辛かった。無戸籍だから、本当は存在しないはずの人間だから妹の月子にいとも簡単になり切れてしまうのも、市子を取り巻く環境にDV、ヤングケアラー、300日問題と社会問題が凝縮されていたのも救いようがなくてしんどすぎた。

市子がやっていることは悪で、悪魔のよう。でもそれを責められないというか、こうなる前にどうにかできたんじゃないか、と思ってしまう。悪魔を生み出してしまった社会の制度であったり、1番は親に責任があったんじゃないかと。

おそらく市子から月子になった後、幸せになることを1度は諦めたんじゃないかと思う。それでも幸せの欠片に触れてしまった時、幸せになりたいと願ってしまうが人間の性で、市子も市子としての幸せを求めたくなってしまったのではないかと思う。でもつかの間の幸せを手に入れた時、戸籍が足枷になる。。とにかく辛すぎる。。

そして何よりも思いがけず市子の全てを知ってしまったが故に市子に人生を振り回されることになってしまった北くんが可哀想すぎた。

全てが明らかになったあとのお祭りのシーンは胸にグサグサ刺さってしんどかった。。
おはる

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