市子のhokaのネタバレレビュー・内容・結末

無戸籍である事を解決する手段はあっても、妹の生命維持装置を殺すつもりか楽にさせてやるつもりか判然としないが、殺人と死体遺棄という犯罪を犯した後では既に婚姻届に記入出来る未来は無い。

介護疲れという情状酌量の余地があっても、
隠匿に手を貸し、脅迫と性的虐待する義父への正当防衛的過失致死と自殺偽装はそれに付随するオマケの様なものだが、これで後戻りのオプションはほぼ完全に絶たれた。

余り人付き合いがなかったとしても、顔にあざのある冬子のIDを手に入れたとして、警察の捜査の手が延びるまで、さして時間がかかるとも思えない。

杉咲花さんと言えば、何となく元気な三つ編み少女のイメージだったので、演技は上手いとは思っていたけれど、今作は次元が違う。

無戸籍であるが故に、その存在が否定される存在であるが故に法律の枠を易々と越えられる厭世的且つ刹那的でありながら、行けるところまで生きていくという自立の意志の力をその目にまざまざと感じさせる女性像を見事に演じている。

宇野祥平さんが普通の刑事だったのは少し肩透かしを喰らってしまった。

中村ゆりさん、やはり年齢不詳ですな。