ゴン吉

市子のゴン吉のレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.8
過酷な運命を背負った1人の女性の生き様を通して介護や無戸籍などの社会問題を取り上げた骨太のヒューマン・ミステリードラマ。 
杉咲花が主演、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴、中田青渚らが共演。 

生駒山中で死亡8年近く経過した性別不明の白骨化した遺体が発見される。そんな折、28歳の市子(杉咲花)は、同棲して3年になる彼氏(若葉竜也)から結婚届用紙を渡されてプロポーズされる。市子は涙を流して喜ぶが、翌日失踪する。果たして市子は何故姿をくらませたのか… 

市子には月子というもう一つの名前があった。
市子の過去が回想され、彼女のこれまでの人生が徐々に明らかにされていくとともに、二つの名前をもつ理由も明かされていく。
介護問題や無戸籍問題など我が国が抱える社会問題に焦点をあてた骨太のヒューマンドラマが展開する。
たまに戸籍を持たない日本人の問題が取り上げられることがあるが、本人たちの苦悩は計り知れない。
要介護の家族を抱える介護家族の限界を超えた疲弊問題も重い。
「市子 ありがとな」母親の一言が重すぎる。
そんな運命を背負った市子に終盤は涙が止まらなかった。
ラストは市子の鼻歌と蝉の鳴く声が心に木霊し、観終わった後はしばらく虚無感から逃れられなかった。
「うちな 普通に生きていきたいだけや」  

2024.4 鑑賞  
第47回 日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を受賞(2024年)
ゴン吉

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