夏の夕暮れ時の、空と言うよりも漂う空気の色が変わる感覚を思い出した。彩度が落ちてるのにほんのり紅紫くて不気味な雰囲気。子供の頃、どこかに連れていかれてしまいそうでとても恐ろしかったのを覚えている。
市子はまさにそんな感じ。こもった蒸し暑さにクマゼミとヒグラシの鳴き声、嫌になるくらい湿度が高い。
市子のキャラクター性がとても魅力的。大人びているのにどこか幼くて、達観してるようで夢見がち。感情が消えてしまったように見えて誰よりも感情が豊かで、プロポーズに涙を見せる。愛を知っている。あの紺色の浴衣を着た市子をどうしても見たかった。
