つっちぃ

彼方のうたのつっちぃのレビュー・感想・評価

彼方のうた(2023年製作の映画)
4.5
ほんの少し話をしても、その人の生い立ちは分からない。ちょっとした1言や仕草から感じるものがあるけどそれが本当なのかは分からない。先日相互さんと本作の裏設定の話をしてたら実に"その人らしい設定"だったのがとても興味深かった。作品の前に観ている者が立ち上がってくる感じ。

《彼方のうた》
"いま、このとき"は流れている時間のほんの一瞬なのであることを感じさせてくれる。それは、かき混ぜた卵のように決して元に戻ることはないが、あの時卵を割ったから、かき混ぜたから、"いま、ここ"にオムレツがあるし、とても美味しいということ。
2024年1月11日/2回目/シネクイント

《彼方のうた》
何かを探すかのようにウォークマンと共に町を彷徨う春。出会う人達と濃密な時間を過ごすがその関係はあいまいなまま。幾通りも想像できる物語はすべてが各人の"ほんとうのこと"なのだろう。切り取り方で全く異なって見える現実世界のように。だってこれは"春さんのオムレツ"なのだから。。

長回し、概ね後ろ姿からのカット、映っていない所に"だいじなところ"が描かれている。バイク、バイク、バイク。初日なので深くは触れませんが杉田ワールド大集合でした。。

杉田監督のアフタートークで"世の中の誰にでもフォーカスを当てれば映画になると思っています。今回は春だったというだけ"の言葉に、過去作まとめて腑に落ちました。
年始1本目から年ベスの予感。。
2024年1月5日/シネクイント
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