今年最初の1本が今作でよかったです。いやすごかったです。わかりたいし、わかるって言いたいけど、気軽にわかるとは言えない映画だ…。
主人公の春は、ひとの悲しみや孤独が気に掛かり、手を伸ばさずにはいられない。ひととの関わりや、制作を通じて、自己の内面に気づいていく。演技に本音を重ねて、記録と記憶を紡いで。ご飯を作って食べて、歩いて立ち止まって。全員にきっと何かがある。だけどその全てを知ることはできないし、表情や仕草に意味があるかはわからない。でもきっとそこに想いは宿っているんだ。喪失はなくならないし、立ち直る話ではない。ただ、喪失はそこにある。それでも時は流れて、ひとはひとに出会う。そして、語られることのない過去を抱えても、きっと今を通じ合っていけるんだ。だってそれが「生きている」ことだから。私のオムレツ、私だけの気持ち。過去作から導かれたふたりが過ごした時の経過に、少しだけ光を感じたい。言葉にした瞬間から溢れてしまいそうな、寂しくて優しい空白を抱きしめていたい……。語られてない日々に、たくさんの生活の営みと痛みに、思いを馳せながら、とてもお腹がすく映画でした。
明日のお昼はかた焼きそばがいいな！
