ほとんど説明を排しているので、想像しながら観ていく楽しさがあるが、別に考え込まなくても良いと思えるワンシーン毎の軽やかさもあり大好きな映画になった。
人と人との繋がり、特に何気ない会話やご飯を食べるだけの空間をここまで愛おしく撮れるのかということ。
まるでその場に居るような不思議な感覚になってしまう。
ありそうなんだけど、なさそうでもある場を作るのが上手過ぎる。
ストーリーどうこうではなく、場面の一つひとつの愛しさだけでこの映画体験には癒される。
その瞬間が"本当"だったらいいという意識。
自分だったら顔が悲しみに暮れる赤の他人に声を掛けることができるだろうかということも考えながら、杉田協士の優しいまなざしが乗り移ったかのような小川あんの目に惹かれる。
舞台挨拶付き上映に参加。
印象的な場面である「あの日 あの時 あの会話」を題材としたワークショップも実際に監督が行っているものと一緒で場所も同じだと言うので驚いた。
監督曰く、実際の受講生の方がこの題材で作るワンカットの場面が一番凄いと感じる映画だということも面白い。
前作の『春原さんのうた』との繋がりであのキノコヤが出てくるのも嬉しかった。
いつか聖地巡礼にも行きたいな。
［2024年 38本目］
