2na

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディの2naのレビュー・感想・評価

4.0
オープニングのユニバーサルのロゴからすでに70年代風のつくりでなんかもうワクワクするところ、本編もフィルムで撮影したかのような温かみのある質感で、何やらデジタルなのにフィルム風に撮ったというこだわりようで。徹底した時代設定からしてアレクサンダー・ペイン監督の意気込みを感じました。
そういえば音、とくに音声もフィルム風のちょっとこもった感じが最初の方で感じたので、その辺も意識しているんでしょう。

ところどころあの時代の白人男性のレイシストっぷりにはちょっとイラっとしたりしましたが、あの時代をぼやけさせずきっちり描いたあたりはさすがかと思いました。

ペイン監督らしくオフビートなコメディ展開で引っ張りつつ、要所要所でグッとくる演出はちょっと目頭が熱くなりました。
そしてもう最後は涙がほろり。ハンカチ持ってて良かったよ。
と言いつつ、全体的にはけっこうコメディ寄りで、感動する場面も過剰に湿っぽくならないあたりが、ほんとに最高でした。

あとチェリー・ジュビリーまわりのレストラン(とくに駐車場)でのわちゃわちゃなんかも良かったしね。

全編を包むあたたかいフィルム(風)の質感と、やさしい音楽、素晴らしい脚本、ハナム先生をはじめとした登場人物それぞれの魅力、と映画を構成する要素が見事に絡み合い、最高の一本になったんじゃないでしょうか。

そして本作でオスカーを獲得したダヴァィン・ジョイ・ランドルフは、次のオクタヴィア・スペンサー的な立ち位置として活躍しそうな予感が。