余命3ヶ月と診断されたゲイのカメラマンが、自分なりに人生を清算しようとする日々を綴る人間ドラマ。
恋人を無理に遠のけ、家族の埋まらない溝に悩む心境を、唯一心を開ける存在である祖母に語る。そして彼は小さなデジタルカメラを手に、様々なものを人を慈しむように写真を残し始める。そんな彼に不妊に悩む夫婦からある申し出が…。
主人公の姿を淡々と綴りながらも、しっかりと人間模様が描かれて好印象。特に印象に残る場面は台詞に頼らずじっくり見せる。どうしても素直に接することができない姉を、遠くから写真に撮る場面は、特に泣ける。
変幻自在な作風がオゾン監督作品を観る楽しみだが、雰囲気としては「まぼろし」(2000)に近いかな。
性にまつわる描写はかなり生々しい。
祖母役は、名女優ジャンヌ・モロー。こんなカッコいいおばあちゃん、なかなか他の映画でも見られない。