コロナの時事ネタを入れつつミクロでマクロ（グランピング計画＜会社＜社会構造）を描くのが上手すぎるしそのインテリさが鼻につかない
区長の川の話が世界の本質を突いてる
自然破壊を理由にグランピングに反対する住民も現在進行形で自然を破壊しながら生活しているし、戦後に移住してきた人たちも自然を破壊して開拓してきた
被害者に見える人でも確かに加害者的な側面があるから完璧な正義は存在しない
この正義が存在しないという事実が背理的に完全な『悪は存在しない』ことを示している
あの土地の「神」が死んだことで全てが悪でなくなる判定のラストはもはや大喜利
濱口は人と人はどれだけコミュニケーションを取っても全てをわかりあうことはできないということを過去作から一貫して描いている
それについて「バランス」という解決策を示しているのが過去作とは違うところ
濱口の映画に出てくる人物たちが他人を信じすぎていないところが相変わらずすごい好き
コメディ要素も面白くて劇場内で笑いが結構おきてた
マッチングアプリの使い方良すぎ
個人的に濱口は自然よりも監督が映るものを制御できる人工物を撮る方が上手いかなって思った
長回しに耐える画面の強度は他の作品よりは無いと思うけど絶対に映画館で観るべき映画
後半のあの感じは予告編で流れてた『ピクニックatハンギング・ロック』とのシンパシーをちょっと感じた
