『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞に輝いた濱口竜介監督が、ミュージシャン石橋英子とのコラボから生み出した長編最新作。
分断と共存の間でゆらぎながら生きる、人間。美しい自然描写に終始静かな不穏が漂っている。突然挿入されるユーモア。会話劇の上手さは今回も光っている。主人公を演じる大美賀均は俳優ではなく裏方スタッフだったが、その容姿がイメージに合うと判断されて大抜擢された。もちろん、台詞は濱口監督特有の棒読み風演出もあり決して達者なわけではないのだけれど、終わってみれば謎めいたところのある主人公にマッチしているように感じた。
(ネタバレはしません)最も解釈が分かれるのはラストかな。わけわからないという人もいるだろうけど、案外台詞の中で道筋は提示されてた気もする。水は上から下に向かって流れる。様々なメタファー。静かで、豊かな映画だ。
ある程度前のめりに映画を見る人向けの作品とは思うけど、この、作り手に翻弄される感覚は、嫌いじゃない。序盤寝落ちしかけたけど…