ぐだぐだ

悪は存在しないのぐだぐだのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

唖然。

なんの前情報も入れずに見に行った。
空を刺す冬の枝が延々と続くオープニング(すごく良かった)。
理想的な、ファンタジックなまでのスローライフ。
娘の、森の1人散歩(不穏にも平和にも感じる)。
木の名前と、ああ。うん。おっ!だけで進める朴訥としたコミュニケーション。
調和を求める住民と資本主義の対話(自分が責められているような居心地の悪さ)。
夢から引き戻すような、不躾な都市の圧迫感と、資本主義側の平凡な苦しみ。

娘の失踪。

それを超えて人間的な歩み寄りがあると当然予想したのに。
突然の暴力。
何が起こったのかわからない、投げ出されたまま、ごく短いエンドロール。
これは…。

思っていたのと全く異なる形でタイトルが回収されてしまった。
父親であること、ぶっきらぼうだが理知的で親切で清廉な態度、住民の中の立ち位置、「悪者」への寄り添う物語の運び、忍ばされたユーモア、ハートウォーミング系の映画のパターン、全部に裏切られた。
救いようのないほどのデリカシーのなさと思慮の浅さは、悪、ではない…。

・追記
パンフによると主役は、元々映画の裏方として手伝っていた人がイメージに合うからと起用したらしい。
そのイメージとは、「ミステリアスな怖さ」。
父親、理知的、素朴、親切、清廉といったイメージの底流に、怖さ、底知れなさ、油断のならなさがあるというバランスなのか。
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