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悪は存在しないのmotoのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.2
昔から続く人間の自然への介入、さまざまなもののバランス、あるいは因果といった普遍的な問題意識を扱うなかでグランピングとかいわゆる現代の卑近なものを置いたのがめちゃくちゃいいなって思った。アプリとか芸能事務所、補助金とか、どうみても自然のなかでの共生とか営みとは全く場違いで並置されるはずのない、あるいはされるべきではないものも実際のところ同じ世界にあるものだということは事実としてあって、それぞれの社会で生きる人間が(同じ日本なのに同じ言語を話すのに)交わっていくことで根本的な会話での分かり合えなさが明るみになっていった。(黛は少し引いた視点から物事を見ようとしているのに、全く的外れなことを、全く悪気もなく言ってしまっていた)
じゃあそれが合っているのか、間違っているのか、もっと大袈裟に言えば善なのか悪なのかはそう簡単には言い切れない、ということなのかな… すくなくともこの集落ら外部からの介入によって発展してきた歴史があって、資本の介入の行為自体が間違っているわけではないことが前半に前提として言及されたのはフェアだった。バランスが言及されたけど、そう、それは0/1の問題ではなくその間の均衡の保ち方、あるいは定義の仕方の問題である…
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