Tyga

悪は存在しないのTygaのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.1
水は低い方に流れる。
そして、人間は最初の一滴ではない。
だからこそ、空をそしてその空を遮るように延びている木の枝を見上げ、これまでの不在とこれからの不在に怯えながら、今そこにいる人を抱き上げる。

スクリーンに漂い続ける死のにおい。
そのにおいは未来のものでもあり、結局語られることのない過去のものでもある。
しかし、そのことがこの映画を悲劇たらしめているわけでもない。

朴訥とした巧のしゃべりかたに途中から愛着を感じはじめた。広義でいえば「悪は存在しない」のかもしれないが、現場もみずに金を引っ張ってくることだけの輩だけは滅びればいいのにと思った。
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