このレビューはネタバレを含みます
何も書かない
何も書けない
ただ、最後は動揺のあまり息が上がって涙が出てきた
「各々の主観で成り立つ世界に悪はない」だけじゃないはずの物語な気がして悔しい
ーー(悔しいので数時間後に追記)ーーー
一見、「悪」に捉えられることも、視点を変えればそこには「正当」な理由がある
その意味でこの世に(絶対的な)悪は無い
その人にはその人なりの理由があるのだから…
という映画ではないのだけは確かだ
何故なら最後の主人公の行為は圧倒的かつ絶対的な悪だからである。
でもそれ以外は全く分からない事だらけ
主人公は娘が倒れているのを見て何を考えたのか
主人公の行為は選択的なものか、衝動的なものだったのか
娘の生死と、その答えは主人公の行為に関係するのか否か
無理矢理納得するために、そして今夜なんとか眠るために半ばこじ付けで考えるならば・・・
主人公は娘が倒れているのを目にした瞬間、大切にしていたはずの「バランス」を自分自身が失っていた事を自覚した。
新しい人と問題解決のため、対話と歩み寄り合いを試みていた。気付いたら「人手は足りてるんで」とか軽口たたいて水を汲ませる位に、一緒に煙草を吸う位に。
でも倒れる娘を見て思いだす。
違う、大切なのは彼女だ。町の事、自然の事、新事業の事、そんなことよりも、うさぎの人形を介して羊羹を食べさせてくれるあの子が自分の最も大切なのであった。
今はここにいない妻との唯一の繋がりとしての娘
唯一の家族としての娘
少しずつ植物と自然を理解し始め、自分と同じ道のりを歩む娘
その娘の「失えなさ」に気が付いた主人公は、自分の崩れていたバランスを直すために殺人の選択をする。
・・・・・とか????
娘を大切にするというその気持ち自体は「悪」では決してない。
人間に「中立」は許されない
だがその性理に悪はない
ただ、我々が生きる中で不可欠な、諸価値の優先順位において「何かの下に何かが存在する」という事実が「悪」として認識されるのである。
その意味ではやはり「悪は存在しない」のだろうか?
いや分からん。