初めて見たよう映像がたくさんあったというのが一番の感想。
特に、木を切断し、薪を割り、拾い、運ぶ、日々のルーティンを引き気味の位置から、長回しで撮影したカットが印象的だった。
それと、車のどこに取り付けているんだろうか?走行中の車の後方を撮った映像は迫力がありハッとさせられる。日常から一気に脱却させられる。(これは前作でもあったような気がする)
濱口監督って車好きですよね。たぶん。
物語に関して、特に結末がどうなったのか大変わかりにくいが、逆に言うと自身で考える余白は十分にあり、映画全体を通して以下のような解釈をした。
・環境保護は中長期的なメリット・デメリットを十分に吟味しデメリットを極力減らすことである。
・だけど自然豊かな場所で吸うタバコはうまい。
・暴力のような行動であっても原理は本人の中では理屈だっている。(暴力そのもの是非ではなく)
映画のタイトル「悪は存在しない」が秀逸で、結果的に全体をがっちり支えていた気がする。
キーワードは、「水は上から下に流れる」という当然の理だったかもしれない。
素晴らしい映画であることは間違い無いが・・・
ほろ酔い・満腹状態で映画館に向かったが、濱口竜介監督作品と知らずに見始めていたら、日常が坦々と流れるシーンで寝落ちしてしまったかもしれないなとも思ったので、十分な睡眠をとった上で臨んだほうがいい。
なお、パンフレットは必読。