さわの

悪は存在しないのさわののネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

悪は存在しない

タイトルは目に入ってたけど重そうだな…と避けていたがおすすめされたので観ました。
ネタバレするんだけどラストの夜に向かっていく緊張感のまま劇場から放り出されたので、気持ちが重たいままです。いや思ってた重さとは違ってたのでアレですけど。もっと悪意が襲ってくる系かとか勝手に思っていたもので……。これ解釈違いかもというか妄想なのだけど、ラストの鹿のくだりってほとんど彼岸の世界にみえて、というのもあそこだけ妙に明るくて、アメリカの夜(昼に撮ってフィルターで夜に見せるやつね)でも月明かりって表現でもないしなあ…みたいに思えたんですよね。死んだはずなのに一回生き返るし。鹿って神の使いなんだっけ…いや妄想ですが……あ、あと「鹿はどうなる」「どこか別の場所に」みたいなやりとりの後にタバコ吸って影になる流れがすごくよかった。
にしても音楽のブツ切りとか超長回しカット、親切なほど危ない事を説明していた脚本の構成の悪意(褒め言葉)がすごくてラストに向かっていっていたのでおすすめされるまま観てよかったとは思います。東京に切り替わった時の気持ち悪さが凄かったな……喧騒も密度も何だけど、いかにもな社長とコンサルが出てくるしいかにもデジタルだし。別に田舎良いとこ都会はダメって映画ではないのだが。
説明会がとにかくしんどい、日本語分かるからとてもしんどいんだよな。居た堪れないというか……どっちも本当はいい人なのに〜、とは言えなくて、恐ろしいほどこういう人は普通にいるし自分がどちらの立場でもあそこにいたらどうしちゃうんだろうって考えてしまうほどにはしんどくて……ダメ計画さえなければこの人達はこうならんかったのにな……というのは大人になって仕事してれば実感として分かるじゃないですか。仕事って何なんだろうね。辛いよ。
…と、色んな重さしんどさ、生きづらさを感じてしまったのだが劇伴よかったな。とてもすごい本当失礼な物言いで申し訳ないけど、マックス・リヒターの『On the Nature of Daylight』って映画『メッセージ』に使われてた曲が大好きで、それに通じる曲だった気がしてとてもよかったです。よかった……ただ映画が心にずしんときている……。
さわの

さわの