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悪は存在しないのKINのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.3
資本主義によって自然を駆逐する都心の企業とそこに暮らす村民たち、といった構造の中にももっと緩やかなグラデーションがあること。また、ここに暮らす人々も、元々は自然を壊して住み始めた開拓者であること。
(そうだ、うどんのゆで汁は環境に悪いんだった)

己の立場や正義によって行動する人間に善悪なんてあるのだろうか?
そして自然もまた、我々に恩恵を与えてくれるだけではない、残酷な仕打ちをもたらすこともある。

"悪は存在しない"といった挑発的なタイトルからはそんなことを自分は汲み取った。

劇的な事件は起こらない、そんな淡々とした風景の中にスリリングな展開をもたらすのは濱口竜介監督らしい。

自分はどうしたって都会の立場になってしまうので、中盤から視点が変わる辺りからよりグイッと世界に入り込めた気がする。
車中での会話がこの映画のハイライトであること(あくまで個人的にだけど)も、濱口竜介らしさを感じた。
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