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悪は存在しないのtaikingのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.5
うわー。すごい。悪は存在しないて。とんでもない投げかけというかトンチというか、、、

ドライブ・マイ・カーがかなり濃密な会話劇だったのと比べて、極端に会話を排除した前半パートでまず度肝を抜かれる。台本にしたら本当に何ページにもならないような言葉数。村の風景特化のショット。一転して中盤以降、説明会のフェーズからだんだんドライブしていく感じがかなり気持ち良い。とにかくあの嫌な都会の奴ら&自然を守る住民、この描き方のリアルさに拍手。と思ったら今度は都会側にフォーカスを当て、彼らの日常を描く。見事すぎる〜。

あの2人の車内会話パート、何が起こるでもないけどとにかく名シーン過ぎる。素晴らしかった。そこからうどん屋さんのパートに至るまで、あの静かでシリアスな中で絶妙に織り込んでくるギャグがとにかく秀逸。笑ってしまった。

そしてラスト。あまりに唐突かつ恐ろしいが、多分それを示唆するような演出はかなり散りばめられているような気もした。あの終わり方で劇場をあとにする我々は一体何を考えればいいのか。悪は、存在ひない・・・・????なんてこった。

ただ、映画体験として最高なのは確か。脚本もさることながら、やっぱりショットの使い方がかなりユニークだし(車目線の謎のショットや森で平行移動で追いかけるショット、リフレインされる木々を見上げるショットなど)音楽も素晴らしい。石橋さん。すごい。唐突に音楽が切れる感じもなんか怖いし。

あまりに引き算過ぎる作りに少し面食らった部分もありましたが、全体を通してかなり楽しかったです。

よくこんな映画作るなあ。すごいなあ。
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