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悪は存在しないのwksgknchのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
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濱口竜介監督脚本

登場人物は便利屋の巧、娘の花がメイン。
長野のとある村に住む2人はいつもの日々を過ごしている。
薪を割る、花を迎えに行く、2人でご飯を食べる。
たまに近所の人とご飯を食べたりする。
良好な関係を築いている。

ある日グランピング場を作ろうとする計画が明るみに、
その説明会のために東京の会社が現れる。
担当者は高橋と黛、彼らも何の思い入れもなくただ村を訪れ、
かたちだけの説明会をこなすも、しっかりと反論されることに、
村の人たちが持つ思いは当然で、
その理由の深さを語る中の水の話しは面白いと思った、
伝統、繋がり、緩やかな変化などの、およそ都市とは無縁の
文脈が語られたと感じたのですが、はぐっときた。
それに対する高橋と黛の感じ方の描き方、丁寧だった。

グランピングが助成金目的であろうこと、後にそれがその通りだとわかるし、
コンサルは数ある仕事の1つで、
高橋の会社の社長は上手く行ってない本業をカバーするために、
コンサルから補助金からめて事業をしましょうとのっかっただけ、
それぞれが一番に考える点が違うだけで、何が悪なのか、
正義とは何か、を突きつけられた。

おそらく花の視線という意図である空を見上げるショットや、
歩幅に合わせるように水平に移動するショット、
車の前方、運転手の視線、でなく背後を写すショット、
そのような映像に意味なんて無いでしょうけど、新鮮だった。

ラストの展開は、花がいなくなり、皆で探し、
開けた原っぱに花と巧と高橋が揃って以降の展開があまりに突飛で、
そのままエンディングとなる。
解釈は開かれていて、ハッピーからバッドまでいくつか展開が考えられる。
最後に凄い宿題を残す濱口監督。

パンフレットを買ってわかったが、
これは同素材を全く別の目的で編集した、
石橋英子(ドライブ・マイ・カーの音楽担当)さんの
映像作品のための「GIFT」という映像作品がある、、
こちらは無声で、その制作方法も特殊だった。

まずは映像の全てを観て、そこから繋いでいく、というもので、
濱口さんの制作スタイルになんとなく近しく感じた、
濱口さんは感情を入れず、フラットに台本を読み合うことをするようで、
まず全体を皆の中に入れ込んであとは現場で俳優から言葉を発することで
映画ができていく。
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