濱口監督、ヴェネチア国際で銀獅子賞獲ったやつ。
自然が残る水が綺麗な町で持ち上がるグランピング施設の建設話、それまでの穏やかで慎ましい生活にも影響が...
音楽を担当する石橋英子さん(ドライブマイカーも)の楽曲に充てる映像制作活動の派生として誕生した長編作品。元となる映像の素材は同じものを使用しているらしい。面白い試み。
全体的に、映像やすごく断片的な会話で先出しされた情報を、後からのセリフでガッツリ肉付けしてる印象。人物だったり、舞台だったりがセリフでリンク、深掘りされていく感覚が気持ちいい。特に2人の車内の会話、最高に楽しい。
濱口監督作品はあの感情を含まない演技の中で、沢山のセリフがストーリーや人物像の輪郭を作り上げていくイメージなんですが、今回は冒頭から音楽の力強さが光る。
監督作品にしては上映時間が短いのに、このシーンこんな長く使う!?みたいのも面白い。しかも、終わってみるとやっぱあって良かったなと思えるあたりが流石。
というか最初、元々セリフの起伏少ないのに、ついにそのセリフまで無くしたの!?、どんだけ引き算するん!?って思ったけど、ちゃんと物語をグッと引っ張っていくワードが散りばめられていて痺れた。ほんとにすごい。
うわぁっていう映画を観た満足感がギュッと詰まってる。これまでは時間が長いからこそと思っていたこの感覚を、この上映時間でも演出できることを見せつけられたのも驚き。
元々はサイレント映画を目指していたみたいで、映像の完成度の高さも凄まじい。最初の長回しもだけど、なんかずっと観てても気持ちいいシーンの多さよ。女の子が木を背景に端から端まで走るところめっちゃ好き。あと、やってること単純だけど、二人が合流するところの演出。
主演の方、役者ではなく助監督とかやってるスタッフ側の人だったのも驚きだけど、監督の演出と相待って、底知れなさみたいなのがうまい具合に醸し出されてて、とても良かった。
ラストの展開は、えっ、てなったし、今も自分の中の解釈しか持ってないけど、それまでのセリフからなんか一定の考え方出来るところすごい。語りたくなるやつ。
一部、圧倒的に悪意を感じた演出は実際の経験に基づいているのかだけちょっと気になる 笑
それにしても、やっぱりこの構成で面白い映画作れるなって思える感覚がマジですごい。100分くらいしかない作品の尺の割り振り方じゃないのよ。
"他なる映画と"を買ったので、それを読むのも楽しみ。今回はかなり臨機応変な対応したようではあるけど、基本的に作品のビジョンが明確な人だと思っているので、この人の頭の中を少しでも見てみたい。