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人間の境界のOMCのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
4.5
ベラルーシ政府が大量の難民を「人間兵器」としてポーランドに送り込む話。
送り込まれた側のポーランドの国境警備隊は、彼らが将来のテロリストであり、プーチンのミサイルであり、小児性愛者で動物虐待者であると刷り込まれているから、彼らのことを人間扱いしない。怪我人でも妊婦でも幼児でも、強引に追い返し、死体を見つけたら、まるで誤配された荷物のようにベラルーシ側へ放り込む。
期待と不安の入り混じった気持ちでベラルーシに到着した彼らの笑顔が一瞬でなくなり、そのあとは延々と続く終わりのない地獄。見ているのが本当に辛かった。
そしてこの映画は、シリア人難民、国境警備隊、支援活動家と、3つの視点から描かれているのが特徴で、そこで行われた非人道的な行いを、客観的に見ることができるようになっています。
当時のポーランド政権は、この映画に対して「事実と異なる」というPR動画まで作成して攻撃したという。
この映画を世に出すために奮闘された監督ならびに制作会社の方々の勇気は、本当に尊敬に値すると思う。
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