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ありふれた教室のOMCのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
3.9
学校で起きた盗難事件を巡る話。
よくよく考えたら、学校の先生ってあんなに沢山の子供たちを毎日相手にしてるなんて、大変な仕事だと思う。子供といえどもみんな人間だから主義主張があるし、最近ではどこの国も移民が少なくないから人種問題もある。さらには家庭環境なんて千差万別だし、人権には最大限の配慮が必要。そんなことを毎日毎日先生1人もしくは2人で対応しているのだから、本当に頭が下がります。
今作の舞台はドイツの中学校。でも、いわゆる友情とか青春とかをテーマにした学園ものとは全く違う。終始不穏な音楽に煽られてまるでサスペンス映画のよう。ずっと続く緊張感で、見てる方も結構疲れます。
そしてほとんどのシーンは学校内で撮られ、監督がパンフで語っているように主人公の私生活は、あえて見せない。だから無駄なシーンが無く、観客はそこで起きている問題に集中できる。
主人公が担当するクラスは中1という設定だけど、子供たちがすごくしっかりしていて驚いた。おかしいと思ったら徹底的に追及する。日本なら大人の事情的なものに忖度して口をつぐんでしまうんじゃないだろうか。
映画はいろんな問題提起をして、唐突にラストを迎える。ちょっとモヤモヤが残る終わり方。鑑賞後感としては、テーマは違えど、昨年見た「TAR」に似ているかもしれない。
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