にゃっぷ

人間の境界のにゃっぷのネタバレレビュー・内容・結末

人間の境界(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ぼんやりしてるんだよなー日本。極東の島国故に、国境の危機は中国の船が通るとか、北方領土返してもらえないとか、あるいは北朝鮮の問題はあるにしても、隣国との国境で難民とその死骸の押し付け合いの投げ込み合いをするようなことがこの世に存在することもほぼみんな知らずに毎日過ごしています。人が至らないから、国もルールも至らないのか。アニエスカ・ホランド(古い読み方になじみが)の渾身の一撃と思えるリアリティ追求のお金もかかったクレジットもヨーロッパ総動員作品。
ちょっと気になるのは、割と人物キャラが紋切りなところ。まあ、監督も古い人だしなー。
あれだけムスリムの難民を拒否して、ウクライナ難民は200万人受け入れるポーランド。。。宗教による受難がない日本は、だからぼーっとしてられる。日本のクルド人難民問題は数からして比ではないが命の重さは一緒。。。
命をゴミのごとく扱う戦争をする人間など滅んで良いとも思うし、不在の神を頼るせいでこうなることを人類はその滅亡の日まで知ることはないのか。。。

対して『悪は存在しない』と同じ日に観ると、政治、感情、宗教、リアリティを抜いた人間存在考察を哲学的に凝縮しまくったのが『悪は存在しない』ってことに震える。予算は1/100くらいで、観念100倍濃縮。同日に観るのが良い。