大昔でも、過去の戦時下でもなく
今まさに起きている現実。
重く重くのし掛かる衝撃。
これでいいわけがなく、なんとか少しでも状況を改善できないのかと思ったとしても
自分に何かできるわけもない。
それも含めた重い現実。
完全なドキュメンタリーではなく、
きちんと映画としての形で観せてくれているので
かえってストーリーとして理解しやすかったように感じた。
商店の脇に座り込む疲弊した家族に
恐る恐るパンを差し出す親子、
バスに乗る赤ちゃんを気遣う国境警備隊員、
わずかに人らしい体温を感じるシーンを
せめてもの救い…とすら思えないような。
逃げ込んだ居心地のよい家で、人種の違う同年代の若者と
若者らしい交流をする避難者たちに
ひととき安堵しそうになるけれど
この先どうなるのか全く希望が見えない重苦しい不安が上回る。
せめて知ってよかったと思う。
映画館を出て、のどかに休日を過ごすご夫婦と赤ちゃんを見て
喉の奥に大きな石を飲み込まされたような
息が詰まる気持ちになった。