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人間の境界のSSのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
5.0
いやはや、これは凄かった。観ててしんどい。
途中で席を立ちたいぐらいにしんどいと思ったのは、塚本監督の野火以外に初めてかも。
観終わった今も、なんか脳を(あり得ないんだけども)めちゃくちゃに殴打されたような衝撃が残ってて、「まじか…まじか…」ってぐるぐるしてる。

ウクライナ難民が他国の難民よりも優遇されてるとか、そういう話は前から聞いてたし、理解はしてるつもりだった。
でもやっぱり、映像として突きつけられると、「ああ私は全然知らなかったんだな」と気付かされる。

刺すとか撃つとか、クリティカルな一撃をしてないだけで、第二次大戦時の日本が捕虜に対してしてたような扱いが繰り広げられてて、本当に胸抉られる。

難民の気持ちは勿論わかる、アクティビストの気持ちもわかる。
でも国境警備隊のあのお兄さんの気持ちもわかる。何なら彼の苦悩が1番グッときた。
ベラルーシ側の人間みたいに、難民を何とも思ってないような人だけでもないというか。
国や大事な人を守るためといえど、誰かを傷つけることで自分も傷つく。でも逆に誰かを傷つけないようにと見ないふりをすれば、それはそれで売国奴的なイメージを自分に付けることになって苦しむし。
なんか、私は貝になりたいの主人公思い出した。


難民の一人が言ってた、「私に罪があるとしたら、世界最低のパスポートを持ってることだ」みたいな一言。
いやほんとに、それが罪になるのは意味わかんないよな…。
ただただ生まれた場所が違うってだけなのになあ。
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