特化型

人間の境界の特化型のレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
5.0
⭐️観る前チェックリスト⭐️
・女、死ぬけど想像より残酷な描写は少ない 男の前ではないけど、裸は映す
・動物、死なない
・ガキ、死ぬ(男)
・男、死ぬし、痛めつけられてる描写多め、前は隠すけど裸は映す

感想
ポーランド人女性によるポーランド政権批判。ポーランド政府からのバックラッシュを避けるために24日っていう鬼スケジュールで撮ったっていうのも、難民当事者や支援活動当事者をキャスティングしてるのも熱い。実際公開した時ポーランド政府から上映妨害されたというのも、それを女が作ってるのも、ポーランドのアレクシエーヴィチ!と思って私はかなりこの監督が好きになったし安心して観に行った
私も予習して観に行ったけどほんとに予習しててよかった。
結局、全部プーチンとタ⚫︎バン政権が悪くて、だからと言って、それに振り回されるポーランド政権やそれを野放しにするEU、ベラルーシ政権、そして彼等の下で銃を撃ち鞭打つ国境警備隊が無罪な訳がない。

2014年からシリアやアフガンからポーランドを経由してEUに逃げようとした難民は3万人殺されたのに、一昨年、ウクライナ人がワルシャワに逃げてきた数は、200万人。いやいや、受け入れる土壌あったんかい!これがスラブ血統主義でなければなんなのか。
映画に出てきた難民支援活動のほとんどが女だった。当事者キャスティングだから、現実もそうだし、冒頭シーンで、赤子が泣き出した女性を助けたのが隣に座っていた女性だったのがその象徴のように、女が女を助けてばかり、国境警備隊の男は殺すか、弱音を吐くかだけ。男の政権で、男が起こした紛争で、男が引き起こした難民問題で、難民に食糧を届けにいき、自分の身を呈してま勾留されてまで車を運転して安全な場所に避難させるのは女。国境警備隊の男が家に帰って自分の非道を後悔するシーンがあるけれど、その尻拭いをしているのは女だ。そんなに嫌なら戦争をしなきゃいい。政権が決めた、という言い訳をして加害欲を満たしたいしついでにお家に帰ったら女にヨシヨシしてほしいんだなって、そんな茶番に付き合わされるなんて真っ平ごめんだ。
まさに、「女に政治をやらせろや」だった。

監督、かなりフェミいと思うし活動家の作品って感じがした。モキュメンタリーは元々好きだったけど、人生の中で一番くらいにのめり込んでしまったな、のめり込まないと分からない
ただ、人には勧めない、現実の、そして現代の話にしてはえぐすぎる。安全に暮らしたい、それってそんなに贅沢なことなの?

p.s.
ガザに祈りをあげろとSNSで言う人は、この映画に映る活動家のように活動していないならば、"自己評価を上げるためのリベラル(本編から引用)"でしかないよ。

あとポーランド語とロシア語が聞き分けられるのと地図を観てから映画に挑んだから、心配してたより人物関係と地理関係が入ってきて安心した

邦題に関して
人間が、ポーランドとベラルーシの国境で飛び交う弾丸にされている(ルカシェンコ、人の心なし)のと、ムスリムとスラヴ人で助ける助けないを線引きしているのと、「人間の境界」がダブルミーニングになっていてすごい翻訳!

総評
終始目をかっぴらかされて、頭ガンと掴まれて、「Видишь!」と言われてるみたいでカロリー消費えぐかった
特化型

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