Kana

DOGMAN ドッグマンのKanaのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
4.0
Filmarksさんに招待して頂き試写会にて鑑賞させていただきました

物語は ある夜、1人のドラァグクイーンが 警察の取調室で 自分と十数匹の犬たちが なぜここへ連れて来られることになったのかを 語り聞かせるシーンから始まります
※犬が痛めつけられることはありませんが常にハラハラ ヒヤヒヤはしてました※

《感想》
犬たちは、
彼が浴びた暴力に寄り添い
奪われた愛以上に忠誠を捧げ
人に馴染めない彼を中心に駆け回り
失った足の代わりに翼を与えた ように私には見えた

彼と犬たちにとって、真っ暗より暗い人生の小屋の中で
心の拠り所になったのは お互いだったと思う

彼は犬に救われた、彼を救ったのは犬だけだった
それでも彼の内側はこびりついて消えない痣だらけだった
彼はそれを、真実じゃないと言うように 装った
忘れるように 悪を淘汰した
しがみつくように 罪を犯した


彼と犬たちの間にある愛が、
この世の全てならいいのに



《規格外のダークヒーロー爆誕》
というキャッチコピーは
彼が語った半生とパーソナリティを考えると少し違和感だけど
もしも彼と犬たちがヒーローなら
愛を持ち 痛みを理解できる 哀しきヒーローたちが
正当なヒーローでいられなかったのは
あまりにも長く、冷たい拳で、殴られすぎたからだと思う


《音楽》
監督の娘が歌っているらしい
ED曲の優しすぎる歌声とメロディが
私の内側にもある傷口に染みて涙が出た

その他の劇中歌も全部よかった
状況と心情を音楽が支えている感じがした



《トークショー》
試写会トークショーでは、リュックベッソン監督作品は兎に角ルックがいい、しかし今回はルックだけではない、と話されていました
私もそう思います

また、物語の進み方や人物設定が他レビューでも言われている通り、JOKERを彷彿とさせた
ただ、DOGMANのパーソナリティを知れば知るほど全く違う印象を受けた

《ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ》
最後に、ケイレブの演技力がとにかく凄い
ケイレブの圧倒的な趣の為に、最後まで作品に引き込まれ、スクリーンが描いた事実や出来事より
より哀しく よりバイオレンスに映って見えた
Kana

Kana