りょうすけ

DOGMAN ドッグマンのりょうすけのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
3.5
「DOGMAN ドッグマン」

犬を愛し、犬に愛されたドラァグクイーンの物語。結構久しぶりのリュック・ベッソン。そこそこの量の作品を世に放っている監督だが、名が知られている割に作風が固定化しないイメージもある。本作も彼のイメージとは少し違う作品だと感じた。

父親と兄から虐待を受け、犬小屋で育った少年が犬と共に成長し、犬と協力して犯罪行為に手を染め始める話なのだが、思ったよりも善人の話だった。足が不自由な主人公が犬を「使う」のではなく、犬と同じ立場で協力しながら生きていくという設定が凄く良かった。

人類と動物の共生という意味では、「猿の惑星:創世記」ぽっさもあるし、その犬版のドイツ映画「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」っぽさも多少なりとも感じた。

「ジョーカー」の影響も少なからず感じてケイレブ・ランドリー・ジョーンズ演じる主人公にはジョーカーだけでなくハーレークインっぽさもあった。悪のカリスマって感じではないけど、ダークヒーローという宣伝自体も強ち間違ってはいないとは思う。

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが得意としてきた風変わりなイカれた奴に、善人さを少し加えた様なキャラ設定は彼にピッタシとしか言い様がなく、今までに観た彼の演技の中でも特に光ったものを感じた。「ニトラム/NITRAM」に続き、彼の才能を十分に堪能することができた。

なんでそんなに戦い慣れてるのって思うくらいラストの戦いが不自然だったり、犬ってそんなに思い通りに動いてくれるのかという疑問があったりとツッコミどころが多い作品ではあるが、そういうファンタジー要素も含めてなんだかんだ嫌いになれない作品だった。
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