山形国際ドキュメンタリー映画祭2021上映作品。台湾のツォン・ウェンチェン監督がベトナムの逃亡労働者に密着したドキュメンタリー。

逃亡労働者とは外国から働きに来たものの雇い主から逃亡しモグリで働く移民労働者のこと。ベトナム人のタオ・ヴァンを中心にそうした逃亡労働者の現状を映した作品。

映画として面白いとは言えないが台湾における労働状況を垣間見ることが出来る意義深い作品だった。人間扱いされず虐待されるベトナム人労働者たち。様々な境遇の人物がそれぞれの過去を語っていく。

強烈だったのは事故で全身火傷を負ったが、違法労働者が故に手術を受けられないという人。非常に痛々しく直視できなかった。

そんな人々のために組織を立ち上げるタオ・ヴァンのバイタリティに感服。自分も家族と何十年も会えていないのに。いや、だからこそ同胞のために尽くす様子に心を打たれる。

ドキュメンタリーとしてはオーソドックスであるが、台湾社会に大きな疑問符を投げかける一作だった。

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