このレビューはネタバレを含みます
【はじめに】
予告を観た時、もしかしてと感じました。
『DUNE/砂の惑星』で満たされなかった。
外連味のある演出や、感情の発露が楽しめるのでは?
『RRR』『バーフバリ』
予告編では、2作に次ぐ映画の到達点!
そう盛大に煽ってきていて。
否が応にも、期待度は上がります。
そんな大見得を切って大丈夫なの?
比べて観ちゃうからね?
……上がり過ぎた期待度は。
私のせいではありません😵
【事のあらまし】
2898年、荒廃により世界は1都市以外は消滅。
巨大要塞 "コンプレックス" は都市と地上を支配した。
要塞に囚われていた奴隷が子を宿し。
やがてその子は "運命の子" と判明。
独裁側と反乱側の抗争が起きてしまう。
そこに賞金稼ぎのバイラヴァが加わる事で。
神話から続く因縁と宿命の歯車が動き出すのだった。
【良かった点】
・物語のスケール感
・解像度の高い世界描写
【良くなかった点】
・世界描写に対しての中身の充実度
・アクションの内容の薄さ
・動作の不自然さ、編集の粗さ
・期待に対するプラバースさんの役所
【総評】
IMAXレーザーGTにて鑑賞。
美術や描写に対して、驚きや満足は強いです。
神話から脈々と繋がる、因縁と宿命は壮大です。
しかし全体から鑑みると、微妙な感想でした。
期待度からの満足度は、残念な出来映えでした。
神話の時代から始まり。
二人の因縁の出来事に決着が付いて。
アニメで時代の変遷が描かれます。
そして2898年に繋がります。
神話の時代の描写は見応えあり。
アニメパートも把握しやすい内容。
冒頭部は、とても良かったです。
世界描写、メカや自然、街並み。
ありとあらゆる対象が、極めて細かく。
解像度の高い写実で、描かれています。
これは正直、感嘆を覚えます!
ただしガワに期待を得たら。
中身をもっと期待してしまうのが心情です。
ガワの期待を超える中身があったかというと。
これは正直、首を傾げる内容でした。
内容に即した描写ならまだしも。
極めて解像度の高い世界描写が。
皮肉にも内容の薄さを強調してしまい。
残念感が漂ってしまいました。
アクションに関して。
モーションの不自然さが目立ちます。
所々カクついた動きだったり。
キメに至るまでコマが足りずに。
不自然を感じる編集だったり。
全体的に荒を感じてしまいました。
量についても、尺に対する分量や期待度からは。
かけ離れた内容になってしまった感があります。
他の作品からの影響も見受けられます。
全体的なベースは『DUNE/砂の惑星』
街の色彩や巨大要塞は『ブレードランナー』
後半のアクションの一部は『MADMAX』
AI付き車はドラマ『ナイトライダー』か?
その他の影響として。
『スターウォーズ』『トランスフォーマー』
(2つは観たことないので印象です)
などなど、オマージュ要素盛りだくさん。
この辺は賛否あるかもしれません。
私はどちらにも感じませんでした。
どちらにせよ満足が足りない。
賛否の前に、そう感じました。
もちろん、借りっぱなしだけではなく。
独自デザインや表現も沢山あります。
巨大石像を中心にしてのバトルは。
高さの緊張感を産んで迫力満点。
理想郷では敵軍の重圧感もあり。
赤黒が基調の悪々しい色彩も映える。
アシュヴァッターマンを捉える拘束具と。
妊婦から体液を抽出するポッドの悪趣味具合。
などなど、大変満足できる箇所もあります。
しかし埋もれてしまった感が大きいです。
プラバースさんの無双を愉しみたい。
そう期待していた私には。
これも期待を外されました。
カメラ目線が主人公寄りではなく。
どちらかというと群像劇よりの撮り方。
彼に割いた時間が、そのために短すぎる。
ようやくバトルに入ったと思えば。
アクションに対する不満足が露呈。
残念ながら期待度を超えませんでした。
特に理想郷内部で、メカで戦うプラバースさん。
ここは大変に期待を外されました。
いや、言いたい事は解るんですよ。
メカとは言え、相棒とバディを組んで。
眼前の敵を倒して進む。
胸アツ展開の王道です。
でもそうじゃないんだ。
期待したのは、逆の立場なんだ。
拳一つで、次々にメカや敵を倒していく。
バカバカしい程に無双するプラバースさんなんだ。
一応この後に覚醒が入って。
キター! 待ってました!
歓喜の声を上げる場面があります。
キメの演出も効果的で、無双が入る。
まさにこれが観たかった!
しかし活躍も僅かの時間。
余りに短すぎる展開に。
逆に、ショボン度が募りました。
前半は、展開よりも描写に力が入りすぎ。
観たいのはそこじゃない感と。
もう解かった、進んでくれ感が募りました。
インターミッションを終えてから徐々に加速して。
理想郷でのバトルや展開は。
概ね良かったです。
しかし観終わってみると。
期待に対する満足が低かった印象でした。
『RRR』『バーフ・バリ』には残念ですが。
一歩、いや二歩以上足りない充実でした。
冒頭や、時折入る神話時代の物語。
ここは見ごたえもあり。
映像と表現のフィットも効いて。
SF要素いらないんじゃと感じました。
理想郷の質素な感じも良いですし。
ファンタジー物として。
神話時代の物語が観たかった。
プラバースさんも出てるから、より一層。
『バーフ・バリ』の二番煎じを危惧したのかな?
そんな所感を抱きました。
そんな事を考えていると、エンドロールへ。
せめて最後の余韻に浸ろうと思いきや。
無音で流れ続けるスタッフロール。
味気も何もない終劇を迎えてしまい……
……今のところ、次回は観ない予定です😥