てつこてつ

ある閉ざされた雪の山荘でのてつこてつのレビュー・感想・評価

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
3.2
原作は未読。東野圭吾氏の1992年発刊のデビュー作との事。

「映像化は不可能・・」と言われていた作品らしいので、おそらく書物として読んだほうがもっと面白いのかもしれない。

事前情報が全く無い状態で鑑賞したが、ミステリーやスリラー映画をそれなりに鑑賞している方なら、途中から色々な面で違和感を覚える筈。

“殺人”シーンの犯人の姿を、男女複数のキャラクターが登場する場合、普通なら男なのか女なのかさえ視聴者には分からない演出をする筈。だが、本作では性別はもとより、口元の特徴から明らかに誰か推察出来てしまうので、今の時代にこんな分かりやすく真犯人が読めるストーリー構成にするわけないだろう・・となる。

過去に起きた劇団員仲間の不幸な事故が明かされ回想シーンが終った時点で、一般常識的に“殺されるべき”強い動機となる対象は一人しかいないのに、それ以上のキャラクターが“殺されている”事実にも不自然さを感じた。

さらには、登場キャラクターが全員劇団員、もしくは舞台経験者という設定にしても台詞回しがあまりにも舞台調っぽいのも気になった。

上記3点については、逆を言えば作品のオチに対して素直に納得ができるように視聴者に対して事前に丁寧な伏線を提示してくれていたとも言えるが、オチに驚きを与えたいなら、別の演出のやり方や脚本の作り方があったと思う。

一番気になったのは主役である重岡大毅演じる唯一の部外者のポワロばりの名探偵ぶり。彼が真相を解決しなければオチに結びつかない(“犯人”の真意にたどり着けない)重要なキャラクターなのに、何故、彼はこれだけ短期間に“連続殺人”の謎を解けたのか? そもそも何故彼に犯人から白羽の矢が当たり合宿に呼ばれたのか?の説明が作品の中ではしっかり説明されていない。

原作では、この部分がきちんと辻褄が合うように描写されているのが凄く気になる。

若く豪華な役者陣の演技(オチを知った後だと重岡大毅とその他の役者陣の終盤までのテンションの違いとか納得)とエンディングは好き。

女性同士の喧嘩シーンでグーパンチを久々に見た。
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