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ぼくは君たちを憎まないことにしたのSoulFoodKitchenのレビュー・感想・評価

3.9
2015年11月13日パリ同時多発テロ事件で妻を失ったジャーナリストである夫アントワーヌの手記を元にした映画。
「ぼくは君たちを憎まないことにした」とは犯人を許した訳でなく残された父と子は今まで通りに生きると言う決意の表明やった。
誰しも愛する人の突然の死に正気でいられる訳はない・・・🥹
哀しみに打ちひしがれるやろうし、ましてやテロによる犠牲なら犯人を憎むやろう・・・
しかし憎しみを抱き続けて生きていく事は犯人の思う壺であり負の連鎖を産むだけや。
幼い子供のメルヴィルには世の中の素晴らしい事を知って欲しい。
芸術や文学や映画や恋愛を楽しんで豊かな人生を歩んで欲しい。
そしてテラスでワインを楽しむ事は最強や・・・
こう自分に言い聞かせて最愛の人の死を受け入れていこうとする・・・🥹

それはアントワーヌだけじゃない・・・
「悲しいのはあなただけじゃない母親も父親も妹も辛い想いでいる」と言った残された親族も同様である・・・
身内の突然の死を、しかも何の関係も無く殺されると言う最悪の別れ方に、どこに感情を持っていけばいいのか・・・
でも墓地を選ばなければならないし棺桶を選ばなければならない・・・
テレビに出たりして自分だけ悲しんでる風でワガママを言うアントワーヌにイライラする気持ちは良くわかる・・・
それでも今にも悲しみで、はち切れそうな心を少しでも冷静になろうとし正気を保とうとしている・・・
その姿には心を打たれたし共感出来たな・・・

今までと変わらない生活を送る事・・・
死んだ人の分も、精一杯生きていく事が最大の供養になる・・・
それは残された者の使命でもある・・・
そして人は、こうして最愛の人の死を受け入れていくんやろ・・・

ラスト、アントワーヌと楽しそうに遊ぶ息子メルヴィルの姿に一筋の希望を見たけど、やがて息子に真実を告げないといけない時が来る・・・
二人の人生の本番はこれからやと思う・・・🥰
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