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The Sixth Child(英題)
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『The Sixth Child(英題)』に投稿された感想・評価

2.9
2022年のレオポルド・ルグラン監督作品。彼はパリで文学を学んだ後、ニューヨークで演出、脚本、編集を学ぶ。ベルギーのブリュッセルのINSAS(高等映画芸術学校)でドキュメンタリーとフィクションを横断する視点や、自分の「リアリティ」を自覚的に活かす姿勢を培った。2016年に撮った最初の短編作品『Angelika』はポーランドの児童施設に暮らす7歳の少女についてのドキュメンタリーで、少女が保護動物の施設に昔の愛犬に会いに行くシーンから家族がいた頃の情景が想像できるようになっている。また2017年の短編『Les yeux fermés』は劇映画だが、青年と末期がんの母が最後の時間を過ごす物語で、青年がプールの水に潜ると幻影が現れるといったファンタジックな瞬間もあり、映画作家としての進化を感じさせる。この2作の短編は設定として、すでに起きたものとこれから起きるものの差はあれ、親との別れという点が共通している。これはルグラン監督自身が6歳の時に母親を亡くした事と無関係ではないだろう。長編デビュー作である『6番目の選択』はアラン・ジャスパールの原作がありながら、ルグランの個人的体験として父が再婚した女性に法的に養子として育てられた事が大きく影響している。1人の子供に2人の女性が結びつく構造に心が動かされたのだろう。

廃品回収業兼金属スクラップ業で家庭を支えるロマのフランク(ダミアン・ボナール)はトレーラーハウスで暮らしている。妻メリアム(ジュディット・シュムラ)との間に5人の子供がおり、彼女は6人目を妊娠しているところだ。宗教的に中絶は許されておらず、これ以上子供を育てる余裕などない中で、フランクは交通事故を起こしてしまう。転売を目論んでいた同僚が隠していた盗品が見つかり、フランクは逮捕されてしまう。裁判でフランクの弁護をしたジュリアン(バンジャマン・ラヴェルネ)は執行猶予付きの判決を勝ち取る。ジュリアンは妻で弁護士のアンナ(サラ・ジロドー)と一緒にフランクを家まで送るが、そこで弁護士夫婦はフランクたち大家族の不安定な状況を知ることになる。
その後フランクはジュリアンの事務所を訪ね、妻の妊娠や自身の借金、新しいトラックを買う必要があることを相談し、ジュリアンとアンナに6番目の子供の親になるように申し出る。フランクの提案は人身売買に該当し、弁護士であるジュリアンは当然ながら断固拒否する。その夜ジュリアンはアンナに全てを話す。彼らは不妊治療を行なっても長い間子供を持つ事ができなかったので、合法的な解決手段として養子縁組を思いつく。ジュリアンとアンナはフランクたちを訪ね養子縁組を提案するが、この制度だと生みの親としての記録が消えるわけではなく、それはミリアムの望みではなかった。ロマの仲間には養子縁組も受け入れられないため、ミリアムは出産中に赤ちゃんが亡くなったと周囲に告げるつもりだったのだ。
ジュリアンたちの提案は破談に終わったはずが、アンナはジュリアンに内緒で、1人でフランクたちを訪ねてやって来る。フランクたちの提案に興味を持ったアンナはお金の入った封筒を手渡すと自分の身分証でメリアムに病院に通わせる。妊娠の経過観察に付き添うなどしているうちに女性2人には友情とある種の共犯関係が生まれていく。

無事出産を終え、アンナは赤ちゃんを譲り受ける。彼女は自分こそ母親だと思う一方、メリアムに負い目や恐れが生まれる。メリアムは自分が産んだ子を手放す喪失感が想像以上のもので、子供が豊かな生活ができるからと自分を納得させようとするも母性との間で引き裂かれそうになる。フランクは生活の困窮からより多くの経済的見返りを求めるようになり、ジュリアンは法を扱う弁護士でありながら、違法行為に手を染めていることに不安を覚え、アンナとの関係にも緊張が走り始める。
法律や社会制度で救うことができない人々の倫理観の揺らぎをサスペンス映画ような緊張感で描いた本作の2組の夫婦の間には、赤ちゃんだけでなく階層、文化、信仰など様々なものが横たわっている。
3.0
フランスの作品は何でも観ると決めているので鑑賞。
タイトルの感じで勝手にテレビ映画かと侮っていた。
2つの家族の細かい苦悩は多くは描かれていないものの、それぞれの飽和しそうなギリギリのところで何とか生活している感じが、言葉の端々などに表れていたのが印象深かった。
これは本当にどうしようもない壁だと思うけど、出産にまつわる内外からの女性のプレッシャーは相当なもので、この作品の男の人のフワフワした感じが現実味を帯びていて良かった。
それは最後の方の裁判のシーンにも表れていて、女性の裁判官の弁護士に対する「お前に聞いてない」感がすごくて、蚊帳の外にされた弁護士含む男性陣に同情。
世の中ではSNSなどで男女の対立構造を作りたがる人々が多いけど、この作品を観てるとそれぞれがそれぞれの立ち位置で踏ん張ってるということが分かるのでは…と思う。

【個人的メモ】
① 最初は男の人のターンだったのに、いつの間にか女の人が主体となっていた!
②元になった小説のタイトルは«pleurer des rivières »

[tv5monde apacにて鑑賞]