Nyayoi

女優は泣かないのNyayoiのレビュー・感想・評価

女優は泣かない(2023年製作の映画)
4.3
地元お気に入りのミニシアター。
劇場挨拶もあって満席の土曜日でした。
前から気になっていた作品。思っていたよりさらに感動!
左隣の男性は涙涙してました。。

不倫スキャンダルで仕事が激減の"崖っぷち女優"の梨枝は、ようやく回ってきた仕事で故郷・熊本へ…そこに居たのは若手のディレクター咲だけ。
咲もまた、希望のドラマ部門の仕事を同期に先を越されて崖っぷち。
ことごとく意見の合わない二人。ドキュメンタリーなのにやらせもどきの演出に怒る梨枝と「演出も必要なんで」と言い切る咲との会話が腹が立つやらおかしいやら、という感じで話は進む。
梨枝の地元福岡での撮影、親と喧嘩して家を飛び出して絶縁状態の梨枝が、家に戻らざるを得なくなり、地元の知り合いが次々現れて・・。

梨枝と咲の会話が不思議に面白く、絡む人物も味わい深い。
怒って絶縁した娘の頑固親父、余命少ない、実はこれまでの娘の記事を全部スクラップにしてテープにとって大事にしまっていた、という親の静かな愛を伝えていた。
あくまで仕事にすがりつく梨枝と咲、家族の思いも知って気持ちの変化が言葉なくても伝わってくる、前に進める物語だった。

蓮佛美沙子さん、演技が下手な女優、という演技。伊藤万理華さんもなんとも言えない味を出して、二人がピッタリはまっていた。

熊本だから宮崎美子さんも出演していい感じ。
創作というものの裏側も垣間見ることができた。

右隣の席にいたおじさま、派手な服を着た、ちょっとオーラのある不思議な雰囲気の人、と思っていたら、主人公の父親役の升毅さんだった!
終わって立ち上がったと思ったら、舞台挨拶で前に出て行ってびっくり。オーラあるわけだ。。

自分が辛いことを乗り越えた、今壁にぶつかっている、という人には特に刺さるものがあるのではないだろうか。
自分の覚悟ができた時、人は強くなるのだ。どこかで見ている人はいる、家族は家族だ。観る人の人生経験で受けとるものは違うのかもしれないが、何かが残る。

もっと多くの人に観てほしいなあと思った、気持ちが前向きになって爽やかさが残る良作。
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