KAO

52ヘルツのクジラたちのKAOのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.8
完成披露試写会にて

本屋大賞受賞で話題だった原作をかなり前に読みましたがその時に感じた重く悲しく胸が痛い展開が、映像になってもほぼそのまま、これでもか!!!と言うぐらいに主人公の貴湖に続き、思わずしかめっ面になりながら鑑賞しました。物語中盤からあちこちですすり泣きが聞こえてきました。

生き辛い世の中での血の繋がりではない心の繋がりが描かれ、それは「魂の番」と原作でも本作でも表現されます。アンさんが貴湖の声を聞けたように、貴湖が52の声を聞けたように、他者が発する心の叫び声を聞くことが出来る世の中、人間でありたいなと思わせてくれる作品でした。

杉咲花ちゃんは「市子」に続いて本当に重いつらい役どころで、圧巻の演技。すごい俳優さんです。

志尊淳さんも今回の映像化で男性が演じるにあたってはとても難しい役どころだったと思います。ちょっとお顔が綺麗すぎたけど。

小野花梨ちゃんも普通の女の子役すごい上手で暗くなりがちな中で明るい人が出てくるのがほっとしました。

あと、映像的には花ちゃん演ずる主人公キナコ(貴湖)の家がある田舎の風景、ベランダから見える海の景色がとても素敵でした。

完成披露の舞台挨拶では最後のご挨拶でそれまでにこやかだった花ちゃんが言葉につまり緊張していたようで本作への強い思いが伝わりました。
KAO

KAO