うに

52ヘルツのクジラたちのうにのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.9
本当に多くの要素を含んだ作品で、きっと見る人によって感じ方は全く異なり想いも変わるのだと思う。
しかしそれがまさに「52ヘルツのクジラたち」であり、届けなければ聞かなければならないものなのだろう。
住処が違うから出会えないだけで、もしかしたら52ヘルツのクジラは目の前にもいるかもしれない。

本屋大賞を受賞した2年前に偶然お店で出会ったこのタイトルを、僕はずっと愛した。
何度も繰り返し読み、人には勧め、次第に色々な物語を知るようになった。
細かい文字が苦手だった僕に本の素晴らしさを気づかせてくれた。

本屋大賞を獲った本は映画化されるという事を知っていたため、あの時から待ちに待った映画だった。
しかし予告が公開された時から微妙にイメージと何かが違うなと思い、楽しみではあったが正直あまり期待はしていなかった。
特にアンさんは志尊淳ではないだろうと映画を見始めるその瞬間まで思っていた。
原作には「丸眼鏡をしていてアンパンマンが大人の男性になった様な姿」(要約)と書かれていたし、あまりにもイケメンすぎるし。
しかしその感情は尽く裏切られた。
不思議なことに見れば見るほど志尊淳がアンさんとなって行き、自分でもその見え方の変わり具合に驚いたし感動した。

映画を見終わった後の率直な感想は、よくもこのストーリーを2時間少々にまとめられたなというものだった。
確かに今冷静になれば原作とは色々変わってるなと思うし、都合でカットや付け加えなどが行われている部分は数多くあったが、自分もこの本で読書感想文を書いた際に到底指定の文字数に収まりきらなかったので気持ちはとてもわかる。同情。共感。

俳優陣の狂気的とすら感じる演技には息を呑んだ。
杉咲花の次々に変わる表情、志尊淳の内に秘めた心の表れ、宮沢氷魚の目。
どこを切り取っても流石としか言いようがない素晴らしさだった。

あとSaucy Dogは個人的にFC会員でライブにも行くので、好きな物語の主題歌が好きなアーティストという運命的な組み合わせでそこにも感動だった。

書いたら長くなってしまい申し訳ありません…🙇
ここまで読んでくださった方々ありがとうございます😭
うに

うに