カミカゼ

52ヘルツのクジラたちのカミカゼのネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

誰にも届かない心の内で叫び続けている人たちの物語
現在パートの中で、回想のような感じで過去のことを振り返る映画
過去と現在が同時進行で進むものの、過去に起きたことの大体は冒頭で何となく分かるので、絶望的な展開への詰将棋を見てる気分
そのうえ、現在もつらい出来事しかないので、終始辛かった

過去編に関しては、感想であんさんがトランスジェンダーだということを見たので、分かってみたのだが、だからこそ不意にでる寂しげな表情が切ない
映画によく出る、クズ男成分混ぜてみましたな宮沢氷魚さんが最高の悪役
トランスジェンダーの映画でよくある、嫌な展開をわかっててやってるのが凄い嫌だった
そして、暴走しつつ、更に自己嫌悪に陥るあんさんが追い詰められて叫んだ、52ヘルツの叫び
その直後の母親からの悪気はない、トドメの一言
本当にやるせなかった
それでも、きなこを思いつづけたあんこさん
きっと、優しすぎたんだろうなと
優しい人が損する世の中なのは辛い

現代編も西野七瀬が新境地の演技
この映画で、一番キライでした
個人的には、育児放棄をする母親の気持ちがわからなかったけど、この人たちは自分が被害者だと思っているんだと気付かされた
到底理解はできないし、許せないけど、そういう考えなんだなと腑に落ちた
ただ、現代編は最後に愛をきなこが引き取ることができたので、ハッピーエンドだった
この映画で置きたのは悲惨だけど、愛を救うことができたのだから、全く無意味ではなかったし、少しずつ全員が救われたと思う
こういううつ映画で、しっかり物事が解決するのは珍しいので良かった

劇中の魂のつがいという言葉がとてもささった
きなことあんさんは、男とか女とか、恋愛でもないもっと深いところでつながっていた
ただ、二人はそれになかなか気付けなかった
お互い思っていることを共有できれば気づけたと思う
だから、自分ももっと伝えたいことを伝えようと思ったし、少しでもいろいろな人の声を聞きたいと思った
あんさんがきなこにしたように
きなこが愛にしたように
カミカゼ

カミカゼ