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52ヘルツのクジラたちのninのネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

原作がとても好きで
原作の小説を読んだ後に鑑賞しています。

最初に、
杉咲花さんの演技が素晴らしい。
そして、鑑賞した人はきっと
志尊淳さんの素晴らしさにも
心動かされるのではないかと思います。


主人公キコを主軸に、キコを取り巻く環境、家族、友人を交えながら、物語が展開されます。
キコの現在にて、ある少年との出会いにより、キコの過去3年前へ遡っていきます。

キコの過去と少年の現在が
重なり、キコの人生の転機が描かれる。

その中で、アンさんという1人の方に
出会います。
このアンさんの描写展開が、この映画を物凄く深いものにしてくれています。
クジラの描写もとても好きです。

あの小説を2時間の映画にまとめるのが
勿体無いと感じていました。
ただ、やはり映像だと少年の描写に物足りなさも感じますが、それでも
鑑賞して良かったと思えました。

そして小説もそうでしたが、
涙が止まりませんでした。
これはただ悲しい虚しさの涙ではなく
誰も責められない世の中への
溢れ出てきてしまう涙です。


アンさんとお母さんが
2人描写の時のお母さんのセリフ。
私は1番辛く寂しかったです。
お母さんもアンさんも誰も悪くないのに、
どうしても締め付けられる描写でした。

"誰かの心の声に耳を傾ける"
傾けられなくても、
"きっとみんな何かしらの悩み、苦悩、苦しさ、寂しさ"を持っている、そんな瞬間が誰にだって訪れる。いつも笑っている、いつも優しいあの人にも。

そう思える自分がいるだけで、きっと何か思える時が来ると思います。そして自分が辛い時、少しは救われるのではないかと思います。

見えない聞こえない触れない、そんなヒトの痛みはどうやったってきっと感じることができません。
でも少しでも寄り添ってあげたい、痛みや寂しさを共有したい、そんな人はこの世のどこかにいて、そういう経験をした自分は、同じような境遇の人をどんな形であれ、救えることもあるかもしれないということ。

結局どこかで誰かに自己満足と
思われるかもしれませんが、
私はそんな世界であるといいなと願います。


そして、言葉は
これからもとても大切に
生きる材料として自分で大切にしたいと感じました。

きっと人間は皆、正解のない生きる意味を探し続けているんだと思います。
そして自らでそれを意味として見出しているんだと思います。


私はもう一度本を読もうと思いました。
とても素敵な作品をありがとうございます。
nin

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