くりふ

ヴォルーズのくりふのレビュー・感想・評価

ヴォルーズ(2023年製作の映画)
1.5
【品なきナチュラル】

Netflix新作レディ・アクション。メラニー・ロランの共同脚本・監督に興味を持ったが、やはりそこに期待しちゃいけなかったようだ。

ここまで集中できない映画も珍しい。何度も途中で止めて、女優さんのビジュアル力に引かれてやっと、見終えた。

ヴォルーズとは原題Voleusesそのままで、単純に泥棒のこと。原作はB.D.(漫画)で、裏は取れていないが、モデルがキャッツ・アイらしい。…ならば、イロイロと納得ですが。

メラニー・ロラン版キャッツ・アイの方が興味わくなあ。どんな怪作になっただろう?

実際は冷酷で命がけの稼業なのに、作り手が余裕ぶっこいたゆとりであることが、映画の隅々にまで行き届いている。これが鼻につくのが一番イヤだった。贅沢できてるのに、モラトリアムしてるんじゃねえよと。

あと、本作イチの特徴は、女性キャラの自然体だと思うけど、ただ下品にしか見えない。例えば酔って正体失くしたオッサンが、飲み屋でガハハと笑う様…それをまんま撮っても見るに絶えないが、私には本作の女性たちが、それと同質に思えます。

何だかこういう、オッサンみたいな女、が映画に増えてきた気がする。

共感を得て今後も増えてゆくなら、それも時代の流れでしょうが、映画としては退行だ。下品を下品のまま撮ってるだけだから。美人だから許す、とは別次元の問題だとおもう。

単純に、監督スキルの問題なのかな?例えば、イザベル・アジャーニを、こんなにも不気味なモノとして撮れる人、初めて見た。人間を魅力的に撮ることにかけて、どこか致命的な欠陥を抱えていないか?そうなら逆に、こう仕上がることに納得してしまうけれど。

メラニー・ロランは最後、彼女の役にハッタリを仕掛けるが、その段階でひっくり返ることも見え透いている。ここに映画がすべて集約されたようで、もうウンザリしてしまった。

アデル・エグザルコプロスの肉感だけは、ヴォルーズってよりスタローンな存在感がありました。

<2023.12.3記>
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