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コンクリート・ユートピアのnaoのネタバレレビュー・内容・結末

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

想像よりかなり描写が辛くて、観る人が限られてしまうだろう作品と思った。(それだけ韓国映画は凄いことの表れ。)
今作を今の日本の状況で鑑賞することは、自分がその場にいないしテレビでは撮していないし首相がテレビに出ていたりするのでそれほど大したことはないんだろう、と全く興味がないか、日本の状況は判りつつも、イ・ビョンホン主演、アカデミー外国語映画賞韓国代表作品が観たい、のどちらかだろうと思う。
辛い描写に何度も「救助や警察、政府が全く出てこないのはおかしい、これはファンタジー」と思いきかせていたけど、いま現実の日本ではまだ生き埋めの人がいるし国は週明けまで何もしてくれない。ので、同じ状況と捉えることができる。。と思った。
格差社会、移民問題、「私たち(韓国はウリ○○の表現が多い)」以外、のメタファー。
「逆転のトライアングル」のヒエラルキーの逆転、「福田村事件」の集団心理、
自分がどちらの立場にいても、その時自分がどうするか、どうなるか、自信を持って言える人はいないと思うし、それを問いかけることができるのも映画の力と思う。
公開時に災害が起きるなんて誰も思わないでしょう。。作品関係者、配給会社も辛いだろうなと思う。
韓国国内での主演男優賞を獲ったイ・ビョンホンは、イメージを崩すこれまでとは全く違う役、悪役で怪演していて結構な衝撃。バックボーンも描かれるけど、やっぱり共感はできない。けれどそれでいいと思う。
楽しみにしている「ソウルの春」でもファン・ジョンミンが全斗煥を演じていて観客の総スカンをくらっているらしいので、史実であれメタファーであれ、所謂「悪役」は巧い役者に演ってほしいし、その表現ができる韓国映画はやっぱり凄いと思う。羨ましい。
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