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セイント・オブ・セカンドチャンス ベック家の流儀のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

野球球団オーナー、マイク・ベックの半生を追ったドキュメンタリー作品。

ドン底球団を型破りなアイディアで救っていく、マイク・ベック。
「野球の試合以外の部分を充実させる事で、野球に興味のない客も集める」という考えは、今やプロスポーツの世界では当たり前になってきているが、その先駆者となったのが彼なのだろう。

ディスコ事件や無観客試合など、その攻め過ぎなアイディアを見ているだけでも楽しいのだが、人と違う事を探求する過程で、弱者やマイノリティーを包摂していくのが興味深い。
教区を追われた修道女、盲人の解説者、女性投手、足のない男。
悪く言えば、見世物の様でもあるが、社会から見捨てられた彼らを救った事も事実である。
この辺は昔のサーカスの存在に近いものを感じた。

薬物で失敗したストロベリーが再起していく過程は、結果が全てではない事を教えてくれるし、このエピソードだけを映画化しても良いくらいなのだが、後半にはマイクと娘の別れが描かれる事に…。

かつて偉大な父親へのコンプレックスに苛まれていた男が、娘に愛される良き父親になるのは感慨深いものがあった。
ターニングポイントとなったのは、仕事のキャリアよりも娘との思い出作りを選んだ瞬間だろうか。
娘の病気を知って尚、仕事に励む彼の姿は逃避している様にも見えたし、仕事を諦める事で、父親への執着も手放す事が出来たのかもしれない。

球団経営の話自体が面白い上に、多様性やセカンドチャンスといったテーマも良いし、語るべき人間ドラマも多い。
これはどこかで映画化かドラマ化するべき話だろう。
個人的には、マイク・ベック役にはセス・ローゲンがピッタシだと思いながら見ていた。
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