ワンコ

ノーウェア:漂流のワンコのレビュー・感想・評価

ノーウェア:漂流(2023年製作の映画)
4.0
【母は強し/祈り】

※Netflix作品

全体主義が覆う近未来のスペイン。
抑圧され明るい未来が見えない世界。

内戦とフランコ独裁を経験したスペインならではのストーリー設定だと思うと同時に、今現在、抑圧され、若者や人材の流出が続くロシアに重なる部分も伺える。
また、分断により、民族主義的な全体主義が頭をもたげている世界の暗い未来も、そして多くの難民を生み出してる独裁国家の現状も暗示もしている作品であるような気がする。

体制に反対するものは捕らえられるか、逃れるか……、逃れて、見つかれば殺される。

ロシアの場合はウクライナ戦線に送られるのだろうか。

“母は強し”なんて書くと、ジェンダレスなんだからなんて言われそうな気もするが、この作品からは、それを強く感じる。

だだっ広い大西洋の真ん中でコンテナでの漂流とサバイバルはリアリティを追求したのだと思うが、目を覆いたくなるところもある。
そんななか、ミアが途中でノアを出産し、工夫を重ね、ノアを生きる希望として困難や悲しみを乗り越え希望をつなげるストーリーだ。

ノアの泣き声にイライラする場面があったり、授乳の母性が感じられるシーンもあって、男性や女性の大人ひとりのサバイバルとひと味違う感じがする。

今、世界のあちこちには難民が溢れ、生きる希望を持てない人が数えきれないほど沢山いる。

世界が少しでも独裁や主義主張ではなく、人々に寄り添えるような場所であることを祈る。

僕は、毎月少額だけれども、UNHCR協会に寄付をしている。
日本ではあまり知られていないかもしれないが、難民支援の国連の団体だ。

ネットのバカな誹謗中傷に目を向けるより、よっぽど精神的に健康になれる気がする。
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