陣内栄

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦の陣内栄のレビュー・感想・評価

5.0
映画を見終わった後、最初に歩いた通路や車までの道を戻っているだけなのに何故か違う景色に思える。そんな感覚になると映画が自分に与えた影響の大きさを知る。
まさにそんな映画だったなぁ。

中学生から大学生にかけて自分の青春を共に過ごし、共に色々な苦難を乗り越えて来た作品。公開日を楽しみにし続け仕事を頑張る原動力にしてきた。アニメシリーズに繋がる今作品。どうしても劇場で観たくて、仕事終わりに駆け込んできた。ありがとう古舘さん。

ゴミ捨て場の決戦。
音駒高校と烏野高校の時代を超えた決戦は、研磨の視点を中心に描かれる。目線や息遣いや汗。コート上にいる全ての選手や戦況を観察し続ける研磨の視点。あれが本当のセッターの視点に近いとしたならば、それはどんなに苦しく怖く刺激的なんだろうと、考えさせられた。勝負に執着しない研磨を揺り動かす日向と烏野チーム。お互いが地上と空中の覇者として戦う様子は、体中にビリビリと電流が走るように興奮した。途中途中で出て来るライバルたちの実況もとても良かった。コート上で戦ってきた相手にしか分からない思いや事実を伝えてくれるサブキャラクターたちが愛しくてしょうがなかった。

私が特にグッときたのは、どちらのチームも「応援したくなるチーム」だったことだ。たくさんの観客がテレビの前も私も含めてどちらも応援したくなったはずだ。そこがハイキューの魅力でもあると思う。敵であるのに、全てが好敵手であること。それが無条件に"応援したくなる"状況になっていく。私は体育の授業でしかバレーをしたことがないし、今からやろうとも特には思わない。それでもバレーを通して熱い思いを分かちあえた気がしている。
弱くても負けてもいい、それでも"応援される"人やチームはなんて素敵なんだろう。

ーーーーーーーーーー
改めてどうしても書き残したかったことがあったので加筆します…。
実は今日どうしてもどうしても見返したくて春高予選の青葉城西戦を一気見した。そんな中で、ハイキューの素晴らしさは敗者に対する敬意を描くところだと思った。負けたチームに対する魂の描写は本当に胸を熱くさせる。勝者、敗者、どちらも応援したくなるチームであることはもちろん、両者が共に尊敬し合っていることが素晴らしいことだと思う。負けた悔しさはもちろんこれまでの自分への後悔、さまざまな気持ちに押しつぶされそうになる。そんな姿を描くと共に、これまでの努力が決して間違っていなかったことに自信を持たせてくれる。勝者へのリスペクトはもちろん、敗者へのリスペクトをきちんと描いてくれる、そんな素晴らしさがあるからこそこの作品に心を掴まれるのだと感じた。
あぁ、鴎台との一戦まで映像化してくれー!
陣内栄

陣内栄