面白かった。
全国大会のひとつの試合を一本の映画で描き、途中途中に過去を差し挟むのは、大ヒットしたスラダンと同じ方法論。
ただし、本作の面白さは映画というよりスポーツの試合の観戦に近く、ドラマ映画としては圧倒的に弱い。
本来の日向翔陽ではなく、ライバルの孤爪研磨が主人公に設定されているのもスラダンぽいが、基本淡白な研磨がスポーツの熱狂を知るまでの話しで、葛藤が薄味かつキャラクターが誰も強いドラマを持っていない。
TVシリーズからのファンで、すでに感情移入している推しキャラがいる人向けにはこれで問題無いだろうけど、原作もTVも全く知らない人は、前記した様に単なる試合観戦に近い印象になり、物語に入り込むまではいかないだろう。
だが、映像表現には工夫が凝らされ、終盤の主人公目線のショットなどは、やや見にくさはあったが、心象表現にもなっていてユニークだった。
単体の映画と考えると物足りなさも残るが、85分の白熱した試合を観たと思えば十分楽しい。