ヤッスン

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦のヤッスンのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

シリーズの途中作品であるというのは分かっているが、一切の情報がない状態で鑑賞した。TVアニメはもちろん、原作も一切知らないので当然どのキャラクターのことも日向が主人公らしいということしか知らない。
何故ゴミ捨て場なんて言われてるのかも最後まで分からなかった。
たまたま映画館のある施設で90分ほど時間をつぶす必要があり、ドンピシャの上映時間があるので観に行ったのだ。

するとどうだろうか、冒頭登場したキャラクターもまたただの暇潰しにすぎないという。
そしてこの作品の主人公が、(もちろん日向がメインとはされつつ)もこの映画においては研磨くんだとわかる。熱量控え目だった彼がこの試合を通し勝に拘り、バレーが楽しい、もっとやりたいと熱望するまでの話だったのだ。戦略を巡らせ汗を流しその面白さを実感していく説得力は抜群だった。
なにせ私自身がそう思ったから。「暇つぶし」に観に来た何もしらない自分が最後には「面白かった…!」と思えた時点でこの作品の勝利なのだ。

昨年のスラムダンクよろしく、一試合を丁寧に描きながら、各人物の掘り下げをしていく。自分のような完全な新参者でも基本は置いて行かれることなくついて行ける親切設計が助かる。

バレーの戦術においてもミリしらだが、誰をどう狙うか、という作戦立てがシームレスに進んでいくのが分かりやすく面白い。
試合シーンの迫力も、縦横無尽に動くカメラや力強い音声で見応えがバッチリ。

そしてクライマックス、研磨くんの一人称視点による長回し。
最後が彼の一人称で進むという彼を主人公とする演出も粋だが、そのショットの緊張感たるや。ボールの行方を追いたくなる気持ちが研磨とリンクするのだ。
そして試合を決めたのが彼の「汗」というベタながらアツい結末。
王道かつ鮮やかだ。

シリーズ作品でありながら初見でもこれほど没入できる仕上がりでとても良かった。
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