Taul

フィンガーネイルズのTaulのレビュー・感想・評価

フィンガーネイルズ(2023年製作の映画)
2.0
クリストフ・ニク監督はデビュー作の『林檎とポラロイド』は設定の面白さが活かしきれていないというか、このアイデアなら普通だなあという退屈さもあった。

今回もそうで、愛を測定する仕組みがある世界という設定は面白いが、それに関する描写がコメディともシリアスともとれない感じで物足りなかった。さらに後半は設定と関係ない凡庸なメロドラマになっていった。ジェシー・バックリー、リズ・アーメッドという旬の役者で何とか観られたが、テーマとストーリーが上手く噛み合っていればもっと面白くなったように思う。

クリストフ・ニクはリチャード・リンクレイターや、ヨルゴス・ランティモスの助監督を努めたそうだが、今のところ、リンクレイターみたいな会話劇の妙や、ランティモスみたいなブラックさとか、個性はあまり感じない。丁寧な描写は悪くないし、奇妙な味わいがあるので、深みのあるいい脚本に巡り合えたら、本領発揮するのだとは思うが。
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